地熱資源の特徴

地開協は地熱開発を通じて地球環境を考えています。

国産資源のメリット

地熱資源

生活や経済活動に必要な一次エネルギー源のうち、日本国内で確保できる比率(エネルギー自給率)は、原子力を国産とした場合でも20%以下に留まり、80%以上を輸入に頼っています。 最近の原油価格の乱高下が示すように、輸入エネルギー源は、輸出国の政情や世界的な需給バランス、為替レートなどによって価格が大きく変動するというリスクがあります。 一方、地熱資源は世界有数の火山国である日本の地下に豊富に蓄えられており、輸入する必要がなく、文字通り純国産のエネルギー源と言えます。 *1 自然界に存在するままの形でエネルギー源として利用されている資源。

二酸化炭素(CO2)排出量が少ないメリット

炭酸ガスCO2や硫化水素H2S

地熱資源は、地下から蒸気や熱水の形で採取されます。蒸気中にはわずかにガス(炭酸ガスCO2や硫化水素H2Sなど)が含まれます。熱水中には地下のさまざまな成分が溶けています。熱水と蒸気凝縮水(発電した後の蒸気が冷えて水になったもの)は、還元井と呼ばれる井戸により、地下深くに戻されているため、環境を悪化させることはありません。 発電所建設から運転中、発電所解体に至るまでの全CO2排出量を全発電量で割ったものを「ライフサイクルCO2排出量」と言います。地熱発電はライフサイクルCO2排出量が水力発電や原子力発電と並んで最も少ない発電方法の一つで、地球温暖化の防止対策に効果的です。 各種電源の発電量当たりのCO2排出量

再生可能エネルギー資源のメリット

蒸気凝縮水

地下深くの貯留層(蒸気や熱水が溜まっているところ)に戻された熱水と蒸気凝縮水は、マグマの熱で再び加熱されます。また、貯留層の周囲からは長い時間をかけて地下に浸み込んだ雨水や河川水が補給されています。 一方、マグマの熱は半永久的ですので、水のリサイクルとマグマの加熱により、地熱資源は持続的に採取が可能です。

出力安定のメリット

太陽光発電や風力発電

風力や太陽光などの自然エネルギーには、利用できる時間帯が限られていたり、季節によって変動したりする特性があります。 一方、地熱資源は設備さえ作ってしまえば、季節、昼夜の区別なく採取できることから、一定量を安定して発電できるという特性があります。 地熱発電は太陽光発電や風力発電と比べて設備容量は少ないものの、発電電力量が多く、利用率が高い安定電源と言えます。

豊富な資源量の紹介

石油や石炭

日本は、石油や石炭のほぼ全量を海外からの輸入に頼っている現状ですが、火山国日本の地熱エネルギー資源は、実はインドネシア、米国に次ぎ世界第3位(約2,500万kW相当)の地熱資源大国なのです。現在開発済みの地熱発電所の設備容量については、日本は18地点で合計53.5万kWとなり、地熱資源量のわずか2.6%、世界第6位(2007年)となっています。日本には有望な地熱エネルギーがありながら、十分利用されずにいます。

地熱発電の課題

火力、原子力発電

一方、地熱発電の課題としては、1箇所で開発できる発電規模が、火力、原子力発電に比べ小さい点(通常1〜5万kW程度)、有望な地熱資源のほとんどの地域が、国立・国定公園等の自然公園内にあり、掘削開発が規制されている点、さらに、発電所開発期間が10年以上と長期にわたる点が挙げられます。自然公園外からの規制地域への深部調査や開発が規制緩和により可能となれば、より高温域からの蒸気生産が可能になります。また、環境アセスメントの実施義務出力が、火力発電所並の10万kW(現状は1万kW以上)になれば、環境アセスメント調査期間の大幅な短縮となり、地熱発電所の建設が促進されます。