アジア企業の時価総額ランキング。2026年2月時点。1位TSMC(台湾)、2位サウジアラムコ、3位サムスン電子(韓国)。


アジア時価総額ランキング
(2026年2月現在)

順位 会社名 時価総額
TSMC
(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング/台湾積体電路製造)

説明 ▼
台湾 1兆7200億ドル
サウジアラムコ

説明 ▼
サウジアラビア 1兆6100億ドル
サムスン電子 韓国 8170億ドル
テンセント 中国 7230億ドル
アリババ 中国 3990億ドル
中国農業銀行 中国 3750億ドル
中国工商銀行
(ICBC)
中国 3580億ドル
中国建設銀行 中国 3400億ドル
トヨタ自動車 日本 3250億ドル
10 ペトロチャイナ
(中国石油)
中国 2600億ドル
11 中国銀行 中国 2530億ドル
12 貴州茅台酒
(きしゅうマオタイシュ)
中国 2510億ドル
13 リライアンス・インダストリーズ
(RIL)
インド 2450億ドル
14 IHC
(インターナショナル・ホールディング)
UAE 2390億ドル
15 CATL
(寧徳時代)
中国 2340億ドル
16 チャイナ・モバイル 中国 2270億ドル
17 三菱UFJフィナンシャル・グループ 日本 2230億ドル
18 ソフトバンクグループ 日本 1750億ドル
19 TCS
(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)
インド 1740億ドル
20 PDDホールディングス
(拼多多/Temu)
中国 1680億ドル
21 HDFC銀行 インド 1650億ドル
22 ソニーグループ 日本 1420億ドル
23 美団
(メイトゥアン)
中国 1360億ドル
24 BYD
(比亜迪)
中国 1220億ドル
25 シャオミ
(小米科技)
中国 1190億ドル
26 ICICI銀行 インド 1160億ドル
27 バーティ・エアテル インド 1130億ドル
28 キーエンス 日本 1110億ドル
29 網易
(ネットイース)
中国 1060億ドル
30 東京エレクトロン 日本 1030億ドル


【1位】TSMC(台湾)

TSMC

台湾の半導体メーカー。

漢字の会社名は「台湾積体電路製造」

漢字の会社名は「台湾積体電路製造」。英語の正式名称は「Taiwan Semiconductor Manufacturing Company」。

世界最大の半導体「受託製造」

注文を受けて生産だけを担う「受託製造」の先駆者である。高性能半導体の生産を請け負う受託生産会社(ファウンドリー)では世界最大手。1987年2月創業・設立。

創業者は張忠謀(ちょう・ちゅうぼう)氏

TSMCの創業者は張忠謀(ちょう・ちゅうぼう)氏。英語名は「モリス・チャン」。

張氏は1931年生まれ。10代でアメリカに渡り、名門大学で博士号を取得。米国の半導体メーカーで幹部に上り詰めた。

創業者は張忠謀(ちょう・ちゅうぼう)

創業者は張忠謀(ちょう・ちゅうぼう)。英語名は「モリス・チャン」。

アテル投資顧問などによると、張氏は1931年、中国浙江省の寧波に生まれた。日中戦争や国共内戦の戦火を逃れるため、広州、香港、重慶と転居を繰り返す過酷な環境で育った。移動の絶えない不安定な生活の中で読書を心の拠り所とし、一時は「作家やジャーナリストになりたい」という夢を抱いていたが、銀行幹部であった父の勧めにより、実利的な工学の道を選択することになる。

ハーバードからMITへ:挫折を糧にした執念

18歳のとき、わずか数ドルの現金を手に単身アメリカへ渡った。1949年、名門ハーバード大学にその年の新入生で唯一の中国人学生として入学。ここで学んだ英文学、歴史、哲学、経済学といった人文・社会科学が、後の経営判断を支える広い視野を養った。

その後、より専門的な技術を学ぶためマサチューセッツ工科大学(MIT)へ転入し修士号を取得する。だが、ここで人生最大の壁に直面する。博士課程の進学試験に2度失敗し、進学を断念せざるを得なくなったのだ。

本人は後に「人生で唯一の大きな挫折だった」と回想しているが、この悔しさが実社会での向上心の原動力となったという。

米国半導体業界の伝説に:テキサス・インスツルメンツ時代

1955年、進学を諦めた張氏はフォード・モーターの内定を蹴り、給与がわずか1ドル高かった半導体企業「シルバニア」に入社する。ここから怒涛の「半導体人生」が始まった。

1958年に移籍したテキサス・インスツルメンツ(TI)では、IC(集積回路)の発明者ジャック・キルビーの隣で働いた。生産ラインの歩留まりを劇的に改善させるなど、技術と経営の両面で頭角を現した。

最終的にはTIの副社長として、全世界の半導体部門を統括する幹部にまで上り詰めた。この米国での25年間で培った合理主義と人脈こそが、後のTSMC設立における最大の武器となる。

工業技術研究院の院長

1985年、米国での輝かしいキャリアを捨てて台湾に戻り、行政の傘下にある「工業技術研究院」(ITRI)の院長に就任した。54歳だった。

院長就任後、台湾政府から「台湾の未来のために、半導体メーカーを国内につくるように」との特命を受ける。工業技術研究院は、それまでの10年間は集積回路の研究を行っていた。次の段階として、ビジネス面で成果を求められたのだ。

当時、設計から製造までを一貫して行う垂直統合型の巨大企業が主流だった。それらの設計会社からのを考案。

「製造受託会社」(ファウンドリ)

1980年代半ば当時、台湾における半導体の製造技術は、最先端の水準から2世代半は遅れていた。半導体を設計する技術もなかった。主要市場だった欧米や日本などへの販売力もなかった。それでも、台湾の半導体業界には良品率が高いという長所があった。

当時は、世界の半導体メーカーの99%は製品の設計から製造、販売まですべてを1社で完結させる『垂直統合型』だった。張氏は、製造だけに特化する会社をつくれば、世界市場で勝負できると考えた。「製造受託会社」(ファウンドリ)という、業界の常識を覆すビジネスモデルで、TSMCを誕生させた。自社工場を持たない「設計会社」が今後は伸びる、という読みも張氏にはあった。

独占状態が7~8年続いた

とはいえ、当時の半導体業界において「製造のみに特化する」というビジネスモデルは前例がなく、その前途は多難であった。インテルなどの垂直統合型(設計から製造まで自社で行う形態)の巨人が君臨する中、無名の新興企業に製造を託すメリットを誰も信じていなかったのである。創業資金の2億2500万ドルを集めるのにも1年近くを要したが、最終的にはオランダのフィリップス社などの協力を得て、1987年に創業へとこぎつけた。

強固な参入障壁を築く

創業後、しばらくは競争相手が全く現れなかった。業界の誰もが「このビジネスモデルは失敗する」と冷ややかに見ていたためである。その結果、皮肉にもTSMCは市場で7〜8年もの間、独占的な地位を享受することになった。この空白期間にTSMCは製造技術の習熟と、顧客との信頼関係という強固な参入障壁を築き上げたのである。

「顧客との利益相反を避ける」

張氏が掲げた「製造だけに特化し、注文を出す顧客のライバルには絶対にならない」という原則は、業界の勢力図を根本から変えた。自社ブランドを持たないことで、顧客(設計会社)は自社の最新設計図が盗用されるリスクを恐れることなく、最先端の技術をTSMCに預けることができた。この「顧客との利益相反を避ける」という信念こそが、後にサムスン電子などの追撃を許さない決定的な信頼の源泉となった。

「ファブレス」からの受注

1990年代に入ると、工場を持たずに設計のみを行う「ファブレス」と呼ばれる企業が相次いで誕生した。彼らにとって、巨額の投資が必要な自社工場を持たずに最先端のチップを生産できるTSMCの存在は、まさに救世主であった。米クアルコムの設立は1985年でTSMCとほぼ同時期であり、米エヌビディア(NVIDIA)も1993年に発足している。

米エヌビディア(NVIDIA)台頭の立役者

特にエヌビディアの創業者ジェンスン・ファン氏は、創業初期に張氏へ宛てて自筆の手紙を送り、製造を依頼したというエピソードが有名である。張氏はこれに電話で応え、当時まだ無名だったエヌビディアの支援を決めた。その後、エヌビディアは画像処理半導体(GPU)で急成長を遂げることになるが、その背後には常にTSMCの高度な製造技術があった。

設計に特化する「ファブレス」企業が増えれば増えるほど、その製造を一手に引き受けるTSMCの重要性は増大していった。設計と製造の分業という、現在では当たり前となった半導体業界の構造は、張氏の先見の明と、彼らが支えた新興設計会社たちの躍進によって作り上げられたものである。

アップルとの提携とスマホ革命

2010年代、TSMCにとって最大の転換点となったのは米アップルとの提携である。それまでスマホ「iPhone」の心臓部であるチップ(Aシリーズ)の製造は、アップルの競合相手でもある韓国サムスン電子が担っていた。しかし、機密保持とサプライチェーンの安定を重視するアップルは、TSMCへの切り替えを決断する。

インテルやサムスンを技術面で引き離す

2014年の「iPhone 6」に搭載されたA8チップ以降、TSMCはアップルの要求する極めて高い品質と膨大な供給量を完遂し続けた。この提携によって得られた巨額の利益は、さらなる次世代プロセスの研究開発へと再投資され、インテルやサムスンを技術面で引き離す原動力となった。現在、iPhoneやMacの最先端チップは、TSMCの工場なくしては存在し得ないものとなっている。

超微細加工の覇者

TSMCの強みは、単なる製造規模だけではない。回路の幅を極限まで細くする「微細化」の競争において、世界で唯一、最先端を走り続けている点にある。かつての絶対王者であった米インテルが製造プロセスの移行に苦戦する中、TSMCはオランダのASMLが開発した極端紫外線(EUV)露光装置をいち早く導入し、5ナノ、3ナノといった超微細加工を次々と量産化することに成功した。

世界の最先端半導体の約9割を生産

この技術的優位性が、世界のハイテク産業におけるTSMCの立場を「選択肢の一つ」から「唯一無二の存在」へと変えた。現在、世界で流通する最先端半導体の約9割がTSMCの工場で生産されていると言われている。その重要性はもはや国家の安全保障に直結するレベルだ。

AI用の半導体(GPUを)を作る

2020年代に入り、生成AI(人工知能)の爆発的な普及が始まると、TSMCの価値はさらに高騰した。AIの学習に欠かせない最強のGPUを設計するエヌビディアにとって、その設計図を現実に形にできるのは世界でTSMCだけだからである。

エヌビディアの躍進を支える

エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは、TSMCの創業者・張氏を「半導体業界の巨匠」と仰ぎ、両社は深い信頼関係で結ばれている。AIブームの影の主役は、設計を行うエヌビディアだが、その物理的な基盤を支えているのは、紛れもなく台湾にあるTSMCのクリーンルームである。



【2位】サウジアラムコ

サウジアラムコ

国営の石油会社

サウジアラビアの国営石油会社。世界最大の石油会社である。正式名称は「サウジアラビアン・オイル・カンパニー」。サウジ政府の石油政策の前線本部として、油田の探鉱から開発、生産までの上流部門を一手に担う。

石油メジャー5社の合計を上回る

年間の利益などの規模は、米エクソンモービルや英オランダのロイヤル・ダッチ・シェルなど、石油メジャー5社の合計を上回ることが多い。

1933年設立

1933年設立。当初はソーカル(現シェブロン)、後にはエクソン、モービルなども加わったアメリカ系の国際石油資本(メジャー)の現地法人だった。しかし、1972年のリヤド協定から段階的に国有化が進んだ。1988年に完全国営体制となった。

また、かつては石油省の管轄下でガソリンなど石油製品の精製・販売を担当する「サマレック」の上位組織に位置していた。1993年、サマレックを吸収合併した。

2019年に上場。史上最大のIPO

2019年12月、サウジの証券取引所(タダウル)に株式を上場した。約2・8兆円を調達し、史上最大のIPO(新規上場)案件となった。

上場時の株式時価総額は約1兆8800億ドル(約204兆4000億円)。当時最大だった米アップルの約1兆2000億ドルを大きく上回った。上場と同時に、いきなり世界最大の時価総額となった。



過去のランキング

【2024年3月】アジア時価総額ランキング

順位 会社名 時価総額
サウジアラムコ サウジアラビア 2兆650億ドル
TSMC
(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、台湾積体電路製造)
台湾 7490億ドル
サムスン電子 韓国 3769億ドル
テンセント 中国 3506億ドル
トヨタ自動車 日本 3207億ドル
貴州茅台酒
(きしゅうマオタイシュ)
中国 3019億ドル
リライアンス・インダストリーズ
(RIL)
インド 2369億ドル
中国工商銀行
(ICBC)
中国 2371億ドル
ペトロチャイナ 中国 2125億ドル
10 中国農業銀行 中国 1958億ドル
11 アリババ 中国 1913億ドル
12 チャイナ・モバイル 中国 1882億ドル
13 タタ・コンサルタンシー・サービシズ インド 1810億ドル
14 中国銀行 中国 1621億ドル
15 中国建設銀行 中国 1604億ドル
16 ピンドゥオドゥオ 中国 1569億ドル
17 HDFC銀行 インド 1443億ドル
18 三菱UFJ銀行 日本 1224億ドル
19 東京エレクトロン 日本 1170億ドル
20 キーエンス 日本 1147億ドル


【2023年6月】アジア時価総額ランキング

トップ20
順位 会社名 時価総額
サウジアラムコ サウジアラビア 2兆420億ドル
TSMC
(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、台湾積体電路製造)
台湾 5126億ドル
テンセント 中国 3967億ドル
サムスン電子 韓国 3618億ドル
貴州茅台酒
(きしゅうマオタイシュ)
中国 2891億ドル
中国工商銀行
(ICBC)
中国 2320億ドル
アリババ 中国 2126億ドル
リライアンス・インダストリーズ
(RIL)
インド 2022億ドル
トヨタ自動車 日本 1913億ドル
10 ペトロチャイナ 中国 1880億ドル
11 チャイナ・モバイル 中国 1854億ドル
12 中国農業銀行 中国 1785億ドル
13 中国建設銀行 中国 1687億ドル
14 中国銀行 中国 1553億ドル
15 タタ・コンサルタンシー・サービシズ インド 1437億ドル
16 寧徳時代新能源科技(CATL) 中国 1280億ドル
17 中国平安保険 中国 1248億ドル
18 中国人寿(にんじゅう)保険 中国 1244億ドル
19 HDFC銀行 インド 1209億ドル
20 招商銀行 中国 1208億ドル


【2022年7月】アジア時価総額ランキング

トップ10
順位 会社名 時価総額
サウジアラムコ サウジアラビア 2兆2740億ドル
テンセント 中国 4459億ドル
TSMC
(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、台湾積体電路製造)
台湾 4239億ドル
貴州茅台酒
(きしゅうマオタイシュ)
中国 3801億ドル
アリババ 中国 3167億ドル
サムスン電子 韓国 2936億ドル
中国工商銀行
(ICBC)
中国 2426億ドル
リライアンス・インダストリーズ
(RIL)
インド 2224億ドル
トヨタ自動車 日本 2127億ドル
10 中国建設銀行 中国 1848億ドル


【2021年9月】アジア時価総額ランキング

トップ10
順位 社名 時価総額
サウジアラムコ サウジアラビア 1兆8916億ドル
TSMC 台湾 6100億ドル
テンセント 中国 6090億ドル
アリババ 中国 4500億ドル
サムスン電子 韓国 4400億ドル
貴州茅台酒 中国 3000億ドル
トヨタ自動車 日本 2400億ドル
中国工商銀行 中国 2400億ドル
タタ・グループ インド 2400億ドル
10 リライアンス・インダストリーズ インド 2100億ドル


中国企業の時価総額が急伸(2019年)

世界の株式時価総額ランキングにおいて、アジア企業の順位上昇が一段と顕著になってきています。とりわけ、近年は中国企業の時価総額が急増しています。

「非国有」のIT企業の台頭

2019年時点の時価総額ランキングでは、アリババ、テンセントが世界全体のトップ10に入っています。一方で、2016年にアジアで1位だった韓国のサムスンは順位が下落。アリババとテンセントに大きな差を付けられました。

国営の銀行やエネルギー会社

以前は、中国の大企業といえば、金融、エネルギー(石油会社など)、通信部門といった国営企業でした。現在でも国営企業の存在は大きく、時価総額ランキングでも、中国工商銀行、中国建設銀行、ペトロチャイナなどが上位に位置しています。

中国の人口規模や今後の経済の拡大予想をふまえると、これらの企業の時価総額が大きいのはある意味当然のことでしょう。しかし、これらの国有企業よりも大きな価値があると見られているのが、アリババ、テンセントなどの民間IT企業なのです。

中国平安保険が急成長

金融業界でも民間企業の伸びが目立ちます。例えば、「フィンテック」を活用した中国平安保険。1988年に深セン(シンセン)市で社員わずか13人の小さなベンチャー保険会社として設立されました。フィンテック技術を強みとしており、ビッグデータの活用に熱心です。

健康診断アプリ

中国平安保険は、「平安グッドドクター」というアプリを提供しています。医師にデータを送ると、2分間で診断結果が返ってきます。病院に行くときには、医師を選んで予約できます。ウオーキングをするとポイントがたまり、換金できます。このサービスは、2億人ものユーザーを獲得しています。

中国は安い労働力で安価な工業製品を作る国だと考えられていましたが、それが大きく変わりつつあるといえます。

台湾TSMCがトヨタを抜く

一方、台湾では、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC、1951億ドル)が、すでにトヨタの時価総額と同規模になっています。